あいつ番外編 DVDの誘惑
              〜時には娼夫の様に

作:サー・トーマス
絵:山野林梧
小説「あいつ」の続編。初稿:2009/3/1    

 俺は北越にある俺の隠れ家(別荘)『ホテル・カルフォルニア』にこの冬中、寝起きしている。
 今、過去に書いた「りんの物語」の続編を執筆中だ。
 明日、林太郎が本当のカルフォルニアから帰国してここに来る予定だ。東京からバイクで突っ走って来る。
 俺は食料を仕入に町に繰り出した。

「?」
 俺はレンタルビデオ屋に入り、新作を物色しながら何気なくアダルト・コーナーに足を踏み入れ、立ち止まった。
「!・・・り・・・りん!」
 その『美少年コーナー』と棚札が下がった一角で目に入ったDVDは!
 何と、一見、髪と体つきが林太郎そっくりの男の子が妖艶なポーズでベッドに横たわっている表紙!



 露わな姿で扇情的な赤のブリーフを履いて!
 しかし良く見ると林太郎には似ているが別人。顔を半分隠していると遠目からは林太郎に見える。
 しかし可愛い。表題は、
「柳○林○郎似の美少年、小野善鬼クンがその妖艶な姿態をさらけ出す!」
 林太郎の名を借りてこんなモノを作りやがって!

 この会社を訴えてやる!

 俺は会社名などを控えるために、そのビデオを掴んでキャッシャーに行った。

 俺は急いでログハウスに戻ると、震える手でDVDデスクをプレーヤに入れた。
 まず、内容と監督名などをチェックするのだ。

 DVDが始まった。
 あいつ、林太郎とはまた違った美少年の善鬼が誘う目でカメラを見てしなを作る。
 赤のシルクのショーツが善鬼の腰に巻き付いている。小さなクロッチでは彼のペニスを覆いきれず、その先っぽが顔を出している。でも微妙なモザイクがそこを隠す・・・それが却って扇情的だ。

「うふん、ボクの中に来る?」
 画面の中の善鬼が囁く。ぴんと勃った乳首。林太郎のそれとダブる。
 
 ・・・

 俺の頭の中で、善鬼は完全に林太郎となり、俺をぬめる様に見つめる。
 あいつの舌が物欲しそうに唇を舐めた。
 林太郎は決してこんな誘い方はしない。しかし画面の中の『あいつ』は娼夫。
 色々な方角に身体をくねらせて俺を誘う。・・・そしておずおずと両手を胸に這わせて自分の乳首をいじり始めた!
「ああ・・・う・・・ん・・・来て・・・」
 彼のペニスは勃起して今やショーツからはみ出し、長方形のモザイクが臍の下まで掛かっている。

 俺はジーパンのチャックを開き、自分の一物を引っ張り出して扱き始めた・・・
 顔の造作の違いなど今は全く関係なかった。画面の中で蠢くのは・・・俺のりん!

 * * *

 俺は玄関のベルの音に飛び起きた!
 もう朝だ!あいつが来た!
 俺は猛スピードでズボンを上げ、ベルトをすると、DVDをプレーヤから出し、入れ物と一緒にソファーの下に隠した。DVDの円盤には善鬼の艶めかしいポーズを取って横になった写真が印刷してあるが、入れ物に入れて蓋をする余裕はなかった。
 散乱しているティッシュを掻き集めてゴミ箱に投げ入れる!

「やあ!」
 扉を開けた俺に林太郎が飛びついてきた!
 真っ赤なバイクスーツとブーツのまま俺にだっこし、脚を巻いてきつく絞める。
 俺はあいつをコアラの様に抱きかかえながら踵を返し、足でドアを勢いよく閉めた。そして俺達はくるくる回転しながら唇を貪った。俺の馬鹿息子はむくむくと大きくなり、林太郎の股間を刺激した。
「あん!大介のすけべ!朝っぱらから!」
 前髪があいつの目と頬に掛かり、まだ少年の様な唇が俺をなじる。

 だが・・・俺はまずいと思った!
 昨夜・・・いや数時間前まで俺はオナニーを続けていたから・・・
 あいつを喜ばす自信はある・・・しかし量は出ない。いつも最初の数回は大量の精をあいつの中に出し、あいつは時々それを口で受けてくれる。
「ふふ・・・凄く出たね・・・」
 そんな時、あいつはうれしそうに受け入れてくれる・・・しかし!
 今、セックスするとバレるかも知れない!

 俺はあいつが言ったことを理由にしようとしていた。
「あ・・・ああ、そうだな。夜にとっとこう・・・お前も疲れただろ?少し休んだら?」

「?」
 俺はどきっとした。あいつの目が俺をふと見つめ直したからだ。
 やばい!
 こういう時はあいつは獣の様な鋭敏な感覚を持つのだ!

「・・・」
 あいつはまた表情を和らげて俺の耳元に囁いた。
「うん・・・一晩中、バイクで突っ走ってきたから、疲れた・・・少しソファーで横になって良い?」
「ベッドで寝ろよ」
「ううん・・・ソファーで良いよ」

 俺は仕方なくあいつをソファーの上に下ろした。まさか・・・その下にあのDVDが隠してあるなんて、分かるわけが無いだろう・・・
「毛布、持ってきてやるよ」
「ありがと」
 あいつは俺の鼻にキスをするとブーツを脱ぎだした。俺は寝室に毛布を取りに行った。

 俺が毛布を持って居間に入ると、あいつがソファーから降りて床に座っている様だ。あいつの頭がソファーの背の向こうに見える。
 俺が近づくと俺の方を向いた。その目は鋭く俺を睨む。
 興福寺の阿修羅様の様な怒りの眉。・・・きれいだ・・・そして俺は窮地に立ったことを知った。

「何だよ!これ!」
 あいつはDVDの表を俺に向けて言った。ブーツを脱いだけどまだスーツ姿で、脚を女性がやる様に崩して座っていた。可愛い・・・だがそれどころではない!

「そ・・・それは、・・・あの・・・お前の名前を出し物にして売ろうとしていたんで、訴えようと思って借りてきたんだ!」
「ふうん・・・それで訴えるの?」
 あいつは疑り深そうな目で聞いた。絶対まずい!何としても切り抜けるんだ!俺!

「ああ!会社名と監督の名前を控えたし・・・」
 あいつは唇を噛んで俺を睨み直した。まだ『誤解』は解けていない!
「著作権協会に今から電話して・・・」

「そんなことどうでも良いよ!」
 あいつは鋭く言った。俺はもうしどろもどろだ。
「どうでも・・・良くないだろ・・・お前の肖像権や名誉を・・・」
「そんなもん、糞食らえだ!俺は・・・どうせこんなだもん!」
「こんなだもん・・・て・・・」
「別に世間に隠すつもりはないよ!」

 あいつの顔は怒りで上気し、その殺気は風の様に俺に当たっていた。
 俺の小説の中で、柳生の庄で『りん』の怒りを浴びた柳生又右衛門(宗矩)もこんな殺気に戦慄しただろうか!

「な・・・何怒ってんだ・・・?」
 あいつは殺気を放ちながらゆっくり言った。
「おまい・・・オナニーしただろ!・・・この子で!」
「そ!・・・そんなこと・・・!」
 何故ばれた!?

「じゃ、ゴミ箱の中のお前の『臭い』はどう説明するんだ!・・・それも一回や二回じゃ無い!」

 ああ・・・何て嗅覚だ!

 俺はへたへたと崩れ落ちた。もう・・・こうなったら謝る一手しかない!

「違う・・・違うんだ!お前を想って・・・似てたから・・・お前を考えてしちまった!明日はお前が来ると思って・・・お前を早く抱きたいって・・・おもったんだー!」

 俺は映画『ブルース・ブラザーズ』の結婚式をすっぽかしたジョン・ベルーシの言い訳よろしく、両手の指を結んで拝む様にあいつに懇願した!映画では『スター・ウオーズ』のレイヤ姫を演じた女優が『オオ、ダーリン!』てうまく騙されていたが・・・(彼女は手にマシンガンを持っている)

 俺の渾身の演技が奏功したのか、あいつの表情が和らいだ!
「・・・大介」
 俺は願いが叶った子供の様にあいつの側に躙り寄った。
 しかし、あいつの表情が再び阿修羅に戻った!

「じゃ、今からする!俺を満足させられなかったらもう来ない!」
「ひん!」

「脱がせろよ!」

 俺は恐る恐るソファーに横になったあいつのバイクスーツを脱がせた。
 前のチャックを開くと、怒りのため汗ばんだあいつの胸が露出した。
 そして腰から足の方にスーツを引っぱった。
「あ・・・!」
 その腰にまとわりついていたのは、光沢のある黒いビキニ・・・左右の腰には金の輪でビキニを繋いである。下腹が殆ど露出してあいつのペニスをぎりぎりで覆っているクロッチ。
「これは・・・?」
 あいつが恥ずかしそうに顔を片手で隠した・・・嗚呼!あのDVDの善鬼の様に!
「これ・・・トーマスさんが送ってくれた新製品」
 く!またトーマスが!
 俺の林太郎のサイズを、何故か知り尽くしている奴!
「ベッドに・・・連れてって」
 俺はあいつを抱きかかえてベッドに横たえた。

「お前の匂いを嗅ぐ・・・」
 俺はあいつのビキニの陰部の膨らみを唇でなぞった。
「!」
 あいつは顔を隠したまま仰け反った。
 俺はビキニを下ろしあいつのペニスの匂いを嗅いだ。ラベンダーの香りとあいつの肉体の香り。
 そして俺の唇は上昇して乳首に至った。
 見事に勃起した小さな果実。弾力有る球体を軽く噛む。
「あう!」
 またあいつは仰け反る。
 そして強く吸う。またあいつの肉体が震える。
「ん・・・」
 あいつの両手が俺の頭を掴み、強く胸に押しつける。
「ああ・・・大介・・・」

 これから夜まで俺はあいつの甘い蜜を吸い続ける。
 あいつにその美しい肉体が得られる全ての快楽を味あわせる。



 俺はこの営みが終わったら絶対にやるべき仕事がある。どんなに疲労していてもそれだけはやるのだ!

 あのDVDを暖炉に投げ入れるのだ。レンタルだろうと知ったこっちゃない。

 DVDは二話に別れていた。
 第一話は露わな姿の善鬼の一人での誘惑。

 そして第二話は・・・横たわった善鬼の前に数人の屈強な男達が現れる。

 そしてセックスはしないものの・・・善鬼は彼らの熱い精をその乳首や腹に受けた。そして最後に・・・一人一人のペニスをその口に受け入れ・・・その白濁を恍惚の中で飲み下していった。

 俺はそのときは頭が混乱していて見逃したが、そのDVDのプロデューサーは「サー・トーマス」とクレジットされていた。

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