サー・トーマスの剣法口座!  

                 (正しく剣豪小説を読むために!)

雷刀


 (八艘の構えの講座からの続き)
 ふいーっ!脅かしやがって・・・後ろに佐久間一族の刺客がいたとは・・・助けてくれたんだ・・・腐腐、やはり阿修羅ちゃん、トーマスのことを愛しちゃってくれてんのかなあ〜・・・

(阿修羅、軽蔑を浮かべた目でトーマスを睨み)
「今度、変な想像したら間違いなく殺す!」
(そして、ふふと妖艶な笑みを浮かべ)
「お前は俺のことを美しく書くのが仕事じゃろ!それだけに専念しろ!後で褒美をやるかも知れぬぞ(足でも舐めさせてやろう)」

 トーマス、何でもやります!阿修羅ちゃんの下僕だす!


 ・・・・・・
 さて今回は刀を上に振りかざす上段の構えの説明じゃ。「雷刀(らいとう)」と言う流派もある。

 もともと古武道には雷刀の形は無かった。
 なぜなら鎧兜の武者は刀を真上には振りかぶれんかったからじゃ。古武道は武士のいくさの戦いのなかから生み出されたので、出来ない構えをしても無駄だったからじゃ。
 しかし平素の兵法として普及してくると、兜を想定しない構えも工夫された。

 この「雷刀」という構えは、やはり剣を振るう者にとって根元的な構えと言えるじゃろう。

 何故か・・・下の絵を見れば分かる。



 これは最も美しい人間の姿の一つじゃないだろうか?他の姿とは、トーマス思うに・・・人が家族や友人の為に無心に神仏に「祈る」姿。そして仏像にある「思惟」の姿じゃ。

 一件すきだらけじゃが、ここから凄まじい攻撃が繰り出される。右肩を回せば、「順の斬り(袈裟切り)」、左肩を回せば「逆の斬り(逆袈裟)」じゃ。

 前に繰り出せば相手の身体を真っ二つにする降魔(ごうま)の斬りとなる。

 それに忘れてならないのは日本刀の形だ。
 この雷刀の構えを意味があるもの(即ち敵を倒す剣)にするのは、あの日本刀の反りのある優美な形があるお陰じゃ・・・優美な形と心身の技が一体になった日本の誇るべき伝統じゃ・・・

 すたすたと阿修羅が雷刀の構えのままトーマスの前に来る。トーマスはうっとりと見とれていた・・・

 ぶん

「あがが・・・」
 阿修羅の垂直に振り下ろされた剣はトーマスの頭を割る寸前で止められていた。
 トーマスは無様にひっくり返りしょんべんをちびっていた・・・



続く

もっと蘊蓄
 読者の方は上の絵の阿修羅の剣の握り方に気付いたかの?肘を広げて握りは「茶巾絞り」という形じゃ・・・。そのまますっと腕を降ろすと中段(正眼)の構えとなる・・・

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