トーマスの映画・音楽・芸術などについて

「薔薇の葬列」 監督:松本俊夫 主演:ピーター 制作:1969年
http://www.imageforum.co.jp/matsumoto/mtm-br.html

 恥ずかしながら、2004年まで見ていませんでした。この松本俊夫という監督、実験映画などを撮り続けた人なんですね。
 傑作です。しかし正統に評価されて無いみたいです。その理由を考えてみました。

 一つは「ゲイ・ボーイ」の実体のルポの様な印象を与えるからでしょうか。劇中劇の形で、撮影風景が出てきたり、出演者にインタビューをしたり、定型的な台詞(歌舞伎調)ありで、明らかにビートルズの「ハード・デイズ・ナイト」の方法を模倣しています。また、ヒッピー(正しくはフーテン)な人達が出てきて「イージー・ライダー」のラリっている状況の描写も模倣してます。
 これによって、主題と銘打っている「 オイディプス神話 」と乖離した印象を受けてしまいます。ゲイ・ボーイ同士で使い古された「不倫」などのモチーフを繰り返しているのも、評価が低い原因でしょうか。

 それでも私が「傑作」だと言うのは、本物のゲイ・ボーイ達の心をちゃんと理解して描写しているからです。本物のゲイ・ボーイ達を俳優として使った様ですが、嬉々として演技しています。
 17歳のピーターや他のゲイ・ボーイ達を使いこなすことが出来たのは、劇中劇という逆説をうまく利用したからだと思います。それで彼らは演技をする必要がなくなったわけです。
 「オイディプス神話」が彼らにとって重要とは少しも思いませんが、単なる同性愛物語にしたのではつまらないとでも思ったのでしょうか、安保の時代でも格調高そうな「鳴り物」はやはり必要だったのでしょう。

 ピーターは鼻が少し丸いのですが、きれいですね。17歳という若さと希なる美しい肌と肢体は圧巻です。私が監督ならもっと映画を撮りますね。
 ピーターのあの年代を浪費してしまったのは、日本映画にとって損失です!。りんの役をやらせたかったなー。
 特にピーターが、鏡に向かってはじめて口紅を付けて自分にキスするシーン()は、日本映画の白眉といっていいと思います。(著作権を侵害するつもりはありません)

 そうそうまぐわっているときのピーターの表情、これは・・・もう駄目です(爆死)。相手役が羨ましい!しかし照明当てすぎ!

 

「ますらお(1〜3)」−秘本義経記− 漫画:北崎拓 小学館少年サンデーコミック 1994年
http://www.s-book.com/plsql/com2_detail?isbn=4091238211

 これも恥ずかしながら2004年、あるサイトでむふふの気(け)あり、ということで早速古本を購入しました。そしてびっくり!・・・現在読んだ3巻までは傑作です。

 とある書評によると「一ノ谷」までで終わってしまうし、しかも弁慶があまりよく表現されていないと書いてあり、まず3巻まで買って読みました。

 牛若が弁慶にどうしてあの女の様な格好で邂逅するのか、というのは過去いろいろ物語が書かれましたが、この本の説明に「ほう」と思いました。平家の一党の若者で形成される「かむろ」と呼ばれる若衆の秘密警察が登場して、その横暴に牛若は立ち向かうのです。ある日、平清盛が父の仇と知ってかむろどもを惨殺し、その水干(肩に切れ目が入った上衣)を奪い、かむろが殺した女性の被衣(かずき)を纏って清盛のいる六波羅に向かう所を大橋で弁慶に会うのです。無論笛は吹いてないでしゅ。
 女性を殺したかむろと勘違いして、牛若を斬ろうとする弁慶と牛若の「欄干渡り」の場面の殺陣は、けっこう「やるなあ」と思いました。作者は古武道しってるんじゃないでしょうか?
 難点は「かむろ」がおきまりの悪ガキで定型的、弁慶もよい男過ぎて印象が薄いことでした。

 しかしですぞ!ほんのりと「男色」のにほいが・・・!少年誌ですのでほどほどにしたのでしょうが、復讐に燃える牛若は細長い顔なのですが、ときどき角度が変わると美形に描かれてます。眉も興福寺の阿修羅様的でしゅ。
 1巻ではぎりぎりに縛られて折檻される場面が・・・おほほ。覚日和尚(鞍馬寺の別当)が、遮那王(牛若)の長い髪を梳いて紙縒の結わえをしてやるシーンも・・・うふふ。

 3巻はですね・・・六波羅に討ち入りして目的を果たせず、川に落ちて仮死状態になっている遮那王に、弁慶が口づけで人工呼吸を・・・ひひひ(いい加減にしろ!)。それを遮那王は知らない、というところが奥ゆかしい描き方でしゅ。

 作者も遮那王のアップでは艶やかな長髪を丹念に描いてますね。ちょっと直毛ですけど。
 そして遮那王の非情の剣。うむむ。鬼となった牛若と優しい弁慶の取り合わせとは、なかなかやるのう。もともと恋愛ものが得意という作者ですが、騎馬武者の絵はかなりの筆力があると見ました。りんの絵描いてほし。

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