再会の夜
 小説「あいつ」の終章より

初稿 2010/11/21
                       

  山野林梧様サイト「夢色奇譚」五周年記念の贈り物〜!(その前におねだりして下のイラスト頂きました!)

文 サー・トーマス
絵 山野林梧


「おい!トーマス!いいのか!?」(大介)
「そうだよ!林梧さんのお祝い、あげなきゃ!」(林太郎)

「ひ〜ん!そんな事言ったって・・・良いネタが浮かばないんだよ〜!」

「おい!お前、妄想の達人だろ!でなかったら、力尽くでも・・・」(大介)

「く・・・お前の握力でアイアンクロー(古!)やられたら、死んじまう!じゃ・・・これでも出すか・・・」

「早く!」(林太郎)







 2年ぶりに林太郎と再会した時、俺の心は高鳴り、林太郎への愛が全身から噴き出すようだった。

 俺は林太郎を強く懐き、共に裸になってベッドに横になった。
 めくるめくとろけるような口づけ・・・今の俺には、飛び込んできた小鳥を逃がさないように、林太郎を懐き続けることしか頭になかった。

 林太郎の手が俺のペニスをまさぐる。美しい目が俺を見つめた。俺のペニスは勃たない。
「・・・出来ないんだ。あれから・・・」

 ハリウッドで俺の原作の映画、「りんの物語」の最後の撮影の時、主人公の「りん」に扮する林太郎は、恋する古武士を演じる陣博間(じん・はくま)と最高のセックスシーンを演じた。
 林太郎を犯し、無理矢理恋人にした俺に復讐するかのように、俺の目の前で林太郎は陣に後ろから責められ、喘ぎ、絶頂に達する演技をやってのけた。アカデミー受賞の理由がその女でなない、男でもない、中性的な肉体を持つ少年から青年に移ろう前の禁断の天使の演技であったことは、公表されなくとも明らかだった。

 俺は、撮影現場で叫びだして撮影を中断させたくて気が狂わんばかりになっていた。だが、反面、自分が生み出したアンドロギュノスがどんな姿態で俺に抱かれていたのかを、俺は知り、自分を殺したくなった。騒ぎ出さなかったのが奇跡であった。

 演技が終わり、現場の興奮がいつまでも冷めない時、陣は気力を出し尽くして半ば気を失っている林太郎を大切そうに抱いていた。俺が近寄ると敵意を露わにして言った。
「そっとしておいてやれ。林太郎は最高の演技をしたんだ!俺は彼を讃えたい」

 その日の夜、クランクアウトのパーティで陣にエスコートされた林太郎がいた。タンクトップでぴっちりとしたジーンズを履いて、その中性的な魅力に誰もが魅了されていた。
 楽しく笑う林太郎を遠くから眺めながら、俺はそっとその場を離れ、荷造りをして帰国した。

 それから誰にも知られず、この北越のHのログハウスで暮らして来た。

 今宵、出来心から、今や世界的なシンガーに転身した林太郎のコンサートを、そっと東京に見に行って帰ってきた。そうしたら林太郎が暖炉の前で俺を待っていたのだ。

「俺の下着・・・まだ持っているんだろ?」
 林太郎の下着!俺が林太郎に焦がれ、遂に一線を越してしまった時、泣きながら逃げた林太郎が残していったナイロンの黒いビキニ・ブリーフだ。林太郎が戻ってきてくれて、俺は許されたと思っていた。だが、俺の横暴で林太郎の夢を踏みにじった時、俺は捨てられた。林太郎が再び戻ってくれた時まで、俺はブリーフに残った林太郎の体臭を嗅ぎ、オナニーを続けたのだ。

 それは大切に箪笥に保存していたが、ハリウッドから逃げ帰った俺はその匂いを嗅いでも、もう勃つことはなかった。心にぽっかり空いたブラックホール。悔やんでも嘆いても絶望は去らなかった。

 林太郎は囁いた。
「・・・俺を鬼芦から守ったあの小吉はどこに行ったんだ?」

 嗚呼!大学生の頃、応援団の鬼芦という男から俺は林太郎を守った。しかし、その後、俺がした事は、正に鬼芦が林太郎にしようとしたことなのだ。

「・・・お前が行っちゃって、俺、分かった。・・・お前を愛してたんだって・・・」
 ああ・・・俺の天使。
「・・・だから結婚しても良いよ。まだお前がその気があれば・・・」

 りんは俺の手を解き、俺の顎、首、胸に口を沿わせながら、俺の下半身に潜り込んでいった。
「りん・・・良いんだ。こうしてくれているだけで・・・」

 りんが俺のだらりとしたペニスを口に含んだ!
「!」
 そして亀頭を舌の上で転がすと、ペニスの裏を舐め始めた。
「ああ・・・」
 久しぶりに俺の下半身に熱いものが湧き上がる。
 林太郎の舌は俺の睾丸を舐め、片方を口に含む。林太郎の鼻に、俺のものがむくむくと勃ち上がりながら擦れる。林太郎がくすと笑った。

 そして林太郎の頭が俺の下腹にくっつき、俺の汚い肉棒を必死に喉元まで入れようとする。
「りん・・・止めろ!もういい!」

 だが、林太郎は顔を上下させながら、自分の乳首を嬲っていた。はっはっと激しくなる息遣い。林太郎の両の乳首は大きく勃起し真っ赤になって乳頭から透明な滴を出していた。
 俺は思わず腰を林太郎の動きに合わせ上下させ始めた。

 性衝動に狂った二匹の獣。片方の美しい柔らかい肉体を持ったオスが、もう一匹の野獣のオスのペニスを口に含み、その精を求めている。その美しいオスは今、メスとなる。突き込む方と受け入れる方。絶対的な服従を強いられるメスとしての林太郎・・・屈辱ではないのか?

 そんな思考も湧き上がる欲望に駆逐される。俺のペニスはぱんぱんに腫れ上がり、無慈悲に林太郎の口腔に突き入れられている。林太郎はそれを柔らかく舌で受け、喉に誘導し、俺の亀頭と尿道を喉の奥で包み込んだ。

「りん・・・りん!・・・もう逝く!」
 林太郎は激しく動く俺のペニスを掴み、強く握った。だが俺の腰の動きはもう止まらない。林太郎の苦しげな鼻からの呼吸が俺の下腹に掛かる。何という快楽!愛し焦がれた対象が俺の穢れた性器を口で包み、今その精液を流し込まれようとしている!

「ああー!りん!あ・・・愛してる・・・・!」

 俺は痙攣するように腰を動かし、林太郎の頭を掴んでその欲望の淫液を噴きだした!
 止まらない・・・二年もの溜まりに溜まった精子が幾重にも林太郎の喉に当たり、その奥に流れていった。
「ぐっ!・・・」
 林太郎は苦しそうな声を出した。だが俺の射精が終わるまで堪えてくれた。

 ペニスから口を離した林太郎は可哀相に激しく咳き込んだ。
「りん!・・・全部吐き出せ!肺に入ったら大変・・・」
 美しくも激しい怒りの眉をして俺の阿修羅は俺を睨む。
「ごほ・・・やだ!一滴も残さない!俺に出してくれたんだから!」

 それでも溢れ出た俺の精液は林太郎の口から零れ、その手と彼のペニスに落ちる。林太郎のペニスは尿道から溢れたカウパー氏腺液で濡れそぼり、俺の筋を引く精と混ざって垂れた。
 俺を睨みながら火照った頬をして、阿修羅は俺のペニスの尿道に残った精を貪るように亀頭を含みねぶり続けた。その身震いするほど妖しい下目使いの顔・・・古今にこれほどの宝を得た王がいるか!?ペルシャの王か?戦国に生きた大名達か?

 ようやく気が済んだのか、口をペニスから離すと怒りの表情は消え、可愛らしい顔に戻った。長い髪が乱れ、前髪が目と頬に揺れる。その目はさらなる望みを湛えていた。

「・・・今度は・・・俺を悦ばして・・・あなた・・・」

 外は雪がこんこんと降ってきた。




「ああ!俺達の秘密を!」(林太郎)
「死ね!」(大介)
「ぎゃー!」

 そこには大介のアイアンクローに架かり、頭から血を流したトーマスが横たわっていた・・・

EOF