「あいつ番外編 善鬼登場!」
           〜DVD撮影現場より実況!

                  作:サー・トーマス
                 絵:山野林梧

                 初稿:2009/3/24

            

「そう・・・こうすればもっと林太郎に似るぞ!」
  トーマスはメイクの頬筆を取り上げて、善鬼の顔を入念になぞっていた。
 その横のメイク担当は呆れた顔で腕組みしている。

「ふふ・・・トーマスさん、よっぽど柳生さんが好きなんだね?」
 善鬼が撮影現場のラブホテルのベッドの上で、妖艶なポーズを取りながらトーマスに言った。
 トーマスはちょっと筆を振るう手を休めたが、また執拗に動かし始めた。

「いいか!ゲイバーでくすぶってたお前を拾って、こうして仕事をさせてやっているんだ!私の言う通りにするんだぞ!」
 善鬼は横をぷいと向いて不機嫌そうに答えた。
「分かってるよ!あんたの変態趣味に付き合ってればお金くれるんだろ?社長さん?」
 最後の言葉に来るまでに善鬼はまた妖しい表情に戻り、流し目をトーマスに送る。
「う・・・」
 トーマスはどきりとして一瞬手を止めたが、またぶつぶつと良いながらメークを続けた。

「・・・お前は今日どんな『演技』をすればいいか分かってるんだろうな?」
 善鬼はまた横を向いて目を閉じて言う。
「ああ・・・僕の好きなことをすればいいだろ?」

 トーマスは、その首筋にむしゃぶりつきたくなるのを必死に堪える。

 トーマスの後ろに、目をぎらぎらとさせて善鬼の肉体を舐め回す様に見ている男がいた。
 『監督』という役割の筈だが、何もせず、プロデューサのトーマスに全てを任せていた。
 巨大な身体にいかにも凶暴そうな鬼瓦の様な顔をしている。監督をするほどの知性が無いことが推し量れる。上着を脱いでワイシャツの上からその胸の厚さが分かる。ズボンの前はその一物がそそり立っているのだろう、その上を自分の手でなだめる様にさすっている。その両側には子分の様な連中がやはり股をもじもじさせながら立っていた。

「お金たっぷり貰ったからね・・・そのうちならちゃんとするよ」
 善鬼はちらと彼らを見てすぐ目を逸らせた。
 恐怖からではない。
(下品な奴ら・・・)

 どうやらトーマスはこいつらに話を持ちかけられ、林太郎を彷彿とさせる少年を嬲るビデオを作って、下着の商売で空けた穴を埋めるつもりだったらしい。だが、彼らが真っ当な商売をしている連中ではないと分かって、やめようとしたが、トーマスしか出来ないなどとうまく煽てられた様だ。
 確かにこのような変態的なセットアップを作らせたらトーマス以上に出来る者はいないだろう。

 トーマスが考案した愛好家向けの美少年用ショーツは発売当時、爆発的に売れたが、それを真似したナイクやモノクロなどの大手に押されて莫大な借金を作ってしまったのだ。

(ふ・・・身から出た錆だね・・・でも林太郎に似ているっていつも言われるとむかつく!)

 柳生林太郎がサッカー界そして映画界から身を引いて数年経っているが、彼の復帰を求める声は大きい。特に男色家や美少年愛好家からは、その中性的な美貌と可愛らしさは伝説の様に語り続けられている。
 トーマスは林太郎似の善鬼を発掘して有頂天になっていた。背後の連中が何かを企んでいることなぞ知るよしもなかった。確かにこのフィルムは数億円の価値が出るだろう。

 トーマスが監督チェアに座って怒鳴った。と言ってもカメラも彼の役目だ。
「テイク1、スタート!」
 善鬼は、トーマスの背後のやくざ者の存在にも関わらず、怖れげもなくカメラの前で身をくねらせた。鼻に掛かった声。
「うふーん」
 ごくりという喉の音。
 撮影が行われている部屋の隅は、照明の影になって暗闇となっていたが、男達が涎を垂らして待っている。どうやら真ん中の大男が命じない限り行動には移せない様だ。

 善鬼が一人で、スクリーンの前の視聴者(勿論男だろう・・・いや腐女子も少なからずいるに違いないが)を誘惑するテイク1が終わった。

 少し休憩を取り、テイク2が始まる。
 トーマスはメガホンを振りながら、後ろを振り向いて言った。
「・・・鬼芦さん・・・ネクスト・テイクの出演、皆さんでお願いします」

 鬼芦と呼ばれた顔に切り傷を持つ醜い男は頷くと左右の子分達に顎で合図をした。小声で指図する。
「いいか!まだ突っ込むなよ!」

 男達はせっかちに衣服を脱ぎだし、そのぱんぱんに張った一物を揺らせながらベッドに近づいた。
 善鬼は5人の男の一物を見比べながら、いろっぽくぺろと唇を舐めた。

「はあ・・・」
 再びしなを作り、肉体を捩り、髪を掻き上げて挑発する善鬼の回りに彼らは集まり、一斉にその鯰を扱き出す。

(ぐぐっ・・・抱きてー!)
 男達は思い思いに善鬼を犯す想像をしながら、善鬼の肉体に向かってオナニーをした。
 だが、この道だけはプロ意識を持っているのだろう、順番を守って射精をし始めた。
 最初の男は善鬼の太股の裏にその精をかけた。

 善鬼は肉体をびくっとさせ、その最初の熱さに小さく叫んだ。
「ああ!」
 2番目の男は、善鬼のセクシーなショーツの上に飛ばす。
「ん!」
 3番目の男はその腹に。4番目は胸の乳首の辺りにかけた。
 善鬼はそれと臍に堪った精液を掬(すく)って、自分の両乳首にゆっくりまぶし、指でこねくり回した。最後のの男はそれを見て踊る様に汚濁を垂れ放つ。それは空中で脈打って善鬼の首に飛び散った。

 その時、そいつの背後から鬼芦の長身の身体が忍び寄った。すでに全裸になっている。その股間には巨大な楔が反り返っている。
 自分の乳首を嬲り、その快感に浸っている善鬼の髪を後ろから掴み、鬼芦は自分の方に向かせた。
 その鋼鉄の様な一物で善鬼の頬をなぞり、鼻の下をくすぐる。

 善鬼はその可愛い口を少し開けると、鬼芦の肉棒の『一つ目』を舌で舐めた。すでにそこには逞しい男の淫液が溜まり、善鬼の唇に口紅を塗る様に湿らせた。善鬼の少し開けた唇と舌の先にねっとりとした液体がライトに光り、善鬼はうっとりとしてそれを舐める。
 男子として生まれた筈だが、同性の分泌物をすすることで恍惚となっている。娼婦よりも淫乱なのか。

「ふふ・・・可愛い奴」
 善鬼の小さな口に、鬼芦の肉桂がずるずると入って行く。喉を膨らませ善鬼は必死に飲み込んで行く。その両手はその乳首を嬲り続け、勃起したペニスを圧迫する様に股をきゅっと絞め、緩め、また絞める。

「ふぐ・・・」
 善鬼の可愛い喘ぎに鬼芦は必死に自分を抑えた。
(ま・・・だだ。1回目はビデオのためだ。優しくしてやるぜ・・・だがその後は、めちゃくちゃに犯しまくって泣き叫ばせ、SMスプラッタービデオの出来上がりだ!どうだ林太郎!愚腐腐)

 鬼芦は激しく腰を動かし出し、善鬼の喉を犯し続けた。善鬼はまだ気をやっている。
(とんだ玉だぜ・・・こいつは!一体何人とやったんだ?)

 鬼芦のピストン運動は究極の速度になった。
「う・・・うおおお!」

 遂に大量の精液が善鬼の喉に流れ込んだ。それをうまそうに飲む善鬼。
 彼の腰が持ち上がった。
「んく!・・・ん!ん!ん!・・・」
 乳首をまさぐりながら善鬼の脹れあがったショーツの前部が痙攣のたびに濡れそぼっていった。

 さすがの鬼芦も射精の余韻で放心状態になり、気を抜いて近くの椅子に腰を下ろした。脚を伸ばしてぐったいと余韻を楽しんでいる隙に、善鬼の顔の回りに男達が駆け寄って一斉にまた一物を扱き出した!一人が堪えきれず、善鬼の口の前にその一物を近づけると善鬼はそれを握り引き寄せ、口に入れた。
「おお!」
 2度目のくせにどくどくと善鬼の喉に当たり流れる淫液の音。
 それを見て、気が狂うほどの気力で我慢をした男の一物が善鬼の口にまたなだれ込み、すぐに気をやった。
「むう!」

(す・・・凄い!これは性の芸術だ!爆発だ!)
 トーマスはカメラを肩に乗せて夢中で、善鬼の妖艶で淫乱で神聖な顔を撮り続けた。

 鬼芦がはっと気付いた時は、子分の5人全員の子種が善鬼の胃に注がれていた。
 善鬼は精液を頬や髪に滴らせたまま、満足そうに目を瞑った。
 舌をちろと出して唇を舐める。

「ばかやろー!」
 怒りの鬼芦の鉄拳が子分の5人をなぎ倒した時、トーマスはカメラを守るために飛び下がった。暴力を目の当たりにして鬼芦の異常性を嗅ぎ取った。カメラをスタッフに渡すとラブホテルから逃がす。

(こ・・・これぐらいで終わりだ!すぐ善鬼を帰らせよう・・・)
 トーマスは責任感を感じて残ったのだ。

「いいか!これから勝手なことをしやがると西向かせて(殺して)やるぞ!子猫を押さえつけろ!」

 鼻や耳から血を流してふらふらしていた子分達は、それを聞くとしゃきっとして、ベッドに横たわっている善鬼を俯せにして、その両腕と両脚を取り押さえつけた。
 善鬼は脚を開かされて、眩しいくらいに白いお尻を全く無防備に鬼芦に晒していた。

 トーマスが揉み手をしながら鬼芦に笑いながら言った。
「へへ・・・親分、ビデオはばっちり撮りましたので、今日はこれで・・・」
 鬼芦の右手がぶんと振られた。
 ばきっ!
 トーマスは身体を一回りさせるとどうと倒れて気を失った。

 押しつけられたまま顔を横にして、善鬼はようやく何をされるのか分かった様だ。
 トーマスが不甲斐なく床に沈むところを目を見開いて見ていた。
 そして鬼芦を横目で睨んだ。
 その目に恐れはなく、却って怒りを顕していた。

「・・・鬼芦さん・・・これどういうこと?アナルセックスは契約に無いよ。それは断った筈だよ」
 鬼芦は身体を揺らせながら善鬼の足下に近づき赤く薄いショーツの横のリングを外した。
 ショーツを取り去られると善鬼の双丘の間からピンク色の蕾が覗いた。健康な会陰がぷくりと膨らみ、つるっとした陰嚢に続く。

 鬼芦はショーツを翳して善鬼の精液を見つけると、鼻を近づけてくんくんと匂いを嗅いでぺろりと舐めた。
「うーん、いい味だ。これが林太郎のものだったらな・・・」
 善鬼が呆れる様に言った。
「あんたら、一体何なんだ?林太郎、林太郎って・・・」
 鬼芦が善鬼にのし掛かる様にして顔を近づけた。ぞっとするほど臭い息!
 鬼芦の一物の腹が善鬼のお尻の割れ目に入る。少し腰をしゃくって突けば、善鬼の蕾は裂け、内蔵を掻き回されるのだ。

 善鬼の顔の前で鬼芦は小声で言った。
「教えてやろう・・・林太郎は俺のものになるはずだった・・・しかしあの角南の野郎のお陰で俺は恥をかき、こんなやさぐれに堕ちた。いつかこうしてやろうと思うことをお前を使ってこれから練習するのだ」
「な・・・何をやるつもりだ!」
「お前を犯し抜いた後、シャブ漬けにして俺のものをしゃぶっていないと我慢出来ない肉体にしてやるのさ!ぐっへっへっへ!」
 善鬼は身体をぶるっと震わせた。それを感じた男達は哀れな生け贄が絶望を感じていると思った・・・

「悪いけどご免だね」
「へっ?!」
 善鬼の言葉が終わるか終わらないうちに彼は身体を捻った。右肩を下にし、身体の左側をくいっと上げると男達はそれを抑えようと逆に引っぱろうとする。その瞬間、善鬼は身体をもとに戻すと逆を突かれた男達は善鬼の手首と足首を逃してしまった!
「ぎゃ!」
「ぐへ!」
 善鬼の手刀が横の男の首や目を襲い、両脚が両側の男の腹を蹴る。すっとばされて部屋の隅にぶつかった。
「貴様!」
 上になっていた鬼芦の手が善鬼の首を絞めようとした。
 だが、首に回される直前に、善鬼の手は鬼芦の親指を掴んでいた!
「がっ!・・・ま・・・まて・・・そこは!」
 善鬼は鬼芦の両手の親指をぐいと捻った。

 以前、大介に折られた鬼芦の両手の親指は彼の弱点になっていた。
 簡単に両手を開かれ、脚を閉じた善鬼にその胸を勢いよく押し飛ばされた。
「うわっ!」
 鬼芦は宙に浮かび、勢いよく板張りの床に背中から落下した。

 唸ってのたうつ男達を平然と見下ろして、善鬼は仰向けに気を失っているトーマスの所に行き、上体を起こして膝で背骨を押した。うっと言ってトーマスがきょろきょろとする。
 トーマスが、回りに倒れている男達の様子で何が起こったか気が付いた頃、善鬼はゆっくり服を着ていた。何事も無かったかの様に。
 椅子に掛かっていたタオルで顔や髪の汚れを拭いた。ぺろとまた唇を舐めた。

「ひっ!」
 トーマスは善鬼に睨まれると尻餅を突いたままき、ドアのほうに躙り寄った。
「ま・・・待ってくれ・・・私は知らなかったんだ・・・」
「トーマスさん・・・悪い友達を持ったね。手を切った方が良いよ。取ったビデオ、売り出すんだろ?」
「君・・・いや、あ、貴方は・・・?」
「親父に子供の頃仕込まれた古武道の小野派一刀流がこんなとこで役立つとはね。それが嫌で家でしてこんなになっちゃったけど・・・そういえば柳生林太郎の柳生ってあの新陰流の柳生だろ?」
 早口言葉の様に諧謔的に言う善鬼の言葉を聞きながら、トーマスは冷や汗をじっとりとかいていた。
「そ・・・そう聞いてます・・・彼も同じ古武道の家の出で・・・」

 善鬼は部屋を出て行きながら思った。
(柳生林太郎・・・!どんな奴か会ってみたくなったな・・・ふふ)





注1)鬼芦と林太郎、角南大介の関係は、「あいつ〜序章」をご覧下さい。
注2)小野派一刀流は、柳生新陰流と共に徳川家康に取り立てられ江戸幕府将軍の指南役となりました。一刀流の祖、伊藤一刀斎とその弟子小野善鬼の物語は「一刀流事始め」をご覧下さい。
注3)トーマスの始めた美少年用下着の商売についてはこちらをご覧下さい。